北関東医学
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前立腺全摘術後の生活の質の調査
黒川 公平鈴木 孝憲鈴木 和浩岡崎 浩小野 芳啓塩野 昭彦竹澤 豊林 雅道今井 強一山中 英壽
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1996 年 46 巻 4 号 p. 301-307

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抄録

当科における前立腺全摘除術後のQOLを知る目的で, 術後6-95ヶ月(中央値36ヶ月)の12例に対して自己記入式質問表による調査を行った.調査項目は排尿障害, 尿失禁および性についての3項目に限定した.これらの項目は, 前立腺全摘除術を選択する上で, 重要な要素となるものである.
まず, 排尿状態では, 症状のスコアは中央値3点であり, 満足度は中央値2点であった.症状のスコアの項目で見ると, 刺激症状が優位の傾向であったが, 重篤なものはなかった.全体としては良好な排尿状態であると結論できた.
術後尿失禁については, 58%(7例)は多少なりともあると答えた.尿失禁の回数, パッドの使用頻度および現在の尿失禁に対する感想からすると, やや問題のある症例は2例(17%)であると考えられたが, これらの症例においても日常の行動が制限されることはなく, 全体としてほぼ満足のいくQOLを維持していると考えられた.
性についてのQOLは, 評価に適した症例が少なく充分な検討はできなかった.全体では現在の性生活には67%(8例)が不満を感じており, 今後改善の余地ありと考えられた.

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