北関東医学
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Pseudomonas aeruginosaにおけるcarbapenem 系β-lactam剤imipenem耐性の研究
渡邊 正人
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1996 年 46 巻 6 号 p. 457-469

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抄録

最少発育阻止濃度 (minimum inhibitory concentration, MIC) が12.5μg/ml以上のimi-penem耐性の臨床分離Pseudomonas aeruginosa 70株のceftazidime, cefsulodin, cefotaxime, lata-moxef, piperacillin, aztreonamに対する感受性を調べた.70株はimipenem耐性と調べた他のβ-lactam剤耐性により3種に分類された.imipenem以外のβ-lactam剤耐性の中でceftazidime耐性を分類のための代表として用いた.A群20株はimipenem耐性 (12.5μg/ml), ceftazidime感受性 (≦1.56μg/ml), B群49株はimipenem耐性 (12.5μg/ml~25μg/ml), ceftazidime中等度耐性 (12.5μg/ml~100μg/ml), C群1株はimipenem耐性 (25μg/ml), ceftazidime高度耐性 (200μg/ml以上) であった.すべての株でβ-lactamaseを産生していた.その産生量はA群は0.05U/mg protein以下, B群は0.01U/mg protein以下から0.85U/mg proteinと種々の値を示し, C群は0.61U/mg proteinであった.β-lactam剤の誘導によるβ-lactamaseの産生はA群はimipenemで顕著に誘導されたが他のβ-lactam剤では誘導されなかった.B群は, imipenemと他のβ-lactam剤の誘導で高い値のβ-lactamaseが産生された.C群 (GN17203) は唯一imipenemを加水分解するβ-lactamaseを産生する株であった.この株が生産するβ-lactamaseは, 不和合群P-9に属するプラスミドpMS350 (31-Mdalon) により賦与されていた.このプラスミドはβ-lactam剤, gentamicin, sulfonamide剤に対する耐性を賦与し, 接合によりP.aeruginosaに伝達し, Escherichia coliに伝達しなかった.精製酵素の分子量は28,000になり等電点は9.0であった.本酵素は広域の基質性を示し, β-lactam剤の中でimipenem, oxyiminocephalosporins剤, cephamycin剤, penicillin剤を加水分解した.本酵素の活性はEDTA, pchloromercuribenzoate, CuSO4, HgCl2によって阻害されるが, 一般的なβ-lactamaseであるセリン酵素に対する阻害剤のclavulanic acidあるいはsulbactamによっては阻害されなかった.

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