北関東医学
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髄芽腫における細胞分化と増殖能について
飯島 美砂
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1996 年 46 巻 6 号 p. 471-482

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抄録

髄芽腫は小児の小脳虫部に好発する未分化な脳腫瘍である.髄芽腫の病理学的特性を検討する目的で, 28症例 (35検体) の髄芽腫を検索した.組織学的にはHomer Wright rosette, pale island, 明暗の領域が混在するlight and dark areaが特徴的であったが, これらの見られない症例もあった.dark areaはlight areaよりも腫瘍細胞密度が高く, また毛細血管や反応性astrocyteなどが含まれており, dark areaが暗く見える一因と考えられた.免疫組織化学的には, 約1/3の症例で神経細胞系マーカーが陽性となったが, glia系マーカーは2例のみが陽性であった.PCNA, MIB-1は高値であったが, light areaはdark areaよりも低値で, 増殖能に差があることが示された.また, Homer Wright rosetteとlight and dark areaの双方あるいは一方を持つ症例に長期生存例が多く, 予後との関連が示唆された.

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