北関東医学
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甲状腺癌に合併した原発性上皮小体機能亢進症の1例
行木 太郎石田 常博塩谷 恵一勅使河原 修草場 輝雄森下 靖雄
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1998 年 48 巻 5 号 p. 373-377

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抄録
甲状腺濾胞癌に原発性上皮小体機能亢進症を合併した1例を経験したので文献的集計を含めて報告する.症例は51歳, 女性で, 腺腫様甲状腺腫 (25歳), 尿管結石 (50歳) の既往歴があった.集団検診で前頸部腫瘤を指摘されて来院した.甲状腺左葉に5.2×4.2cm大の腫瘤があり, 穿刺吸引細胞診class IVで癌が疑われた.超音波検査で甲状腺左葉背側に径1cm大の小腫瘤があり, 血中のカルシウム, PTHが高値で, 原発性上皮小体機能亢進症の合併と診断した.甲状腺亜全摘+郭清, さらに左下上皮小体腺腫を摘出した.摘出標本では甲状腺左葉上中部の腫瘤は濾胞癌であり, 下極の腫瘤は濾胞腺癌であった.リンパ節転移は認めなかった.上皮小体腺腫としたものも濾胞癌であり, これに付着して上皮小体腺腫が存在していた.術後経過は良好で血清Ca, PTHは正常化した, 甲状腺分化癌に上皮小体機能亢進症の合併は稀であり, 文献的考察を加えて報告した.
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