北関東医学
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成人鼠径ヘルニアに対するMesh-plugヘルニア修復術
富沢 直樹大和田 進竹吉 泉田子 俊彦森下 靖雄
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キーワード: Mesh-plug法, 鼠径ヘルニア
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2000 年 50 巻 2 号 p. 117-121

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抄録

最近注目されているTension-free methodのヘルニア修復術である, Mesh-plug hernioplasty(M-P法)の有用性について検討した.対象はM-P法を施行した24例, 27病変で, 外鼠径ヘルニア18例, 内鼠径ヘルニア4例, 大腿ヘルニア4例, 腹壁瘢痕ヘルニア1例であった.硬膜外または腰椎麻酔を施行.外鼠径ヘルニアではヘルニア嚢を確認後, 嚢を反転してMarlex® mesh製plugを内鼠径輪に挿入する.鼠径管後壁の補強は横筋筋膜前面にonlay patchを置くのみに止める.内鼠径ヘルニア, 大腿ヘルニアではそれぞれ内鼠径輪, 大腿輪にplugを挿入する.平均手術時間は40分, 平均在院日数は6.6日で, 硬膜外麻酔症例では手術当日より歩行可能であった.合併症は浸出液貯留が2例に見られたのみで, 再発も認められなかった.雑種成犬を用いた実験では, 一カ月後には繊維芽細胞がmeshの繊維内に入り込み強固な支持組織を形成していた.患者へのアンケートでも術後の疼痛は軽微で社会復帰も早く, 本法への満足度も良好であった.M-P法は日帰り手術も可能で, 従来法に取って代わる標準的なヘルニア修復術になり得る.

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