抄録
【背景・目的】 松寿仙は強い抗酸化活性を持つ一般用医薬品である.一方, 活性酸素は老化, 糖尿病, がん, 動脈硬化などの多くの生活習慣病の発症と深い関わりを持つ.松寿仙をラットに前もって投与した場合に, 活性酸素を生成する ferric nitrilotriacetate (FNT) のプロモーター活性にどのような効果を示すかを調べた.
【対象と方法】 wistar 系雄ラットにFNTを腹腔内投与して, 肝臓および腎臓のオルニチン脱炭酸酵素の活性を測定した.酸化ストレスの評価のために, 肝および腎障害の血清マーカーや過酸化脂質も測定した.
【結果】 FNT 投与により肝・腎オルニチン脱炭酸酵素活性は増加したが, 松寿仙はその増加を抑制した.また, FNTによる血清の過酸化脂質や肝・腎障害マーカーの増加も松寿仙により減少した.
【考察・結語】 オルニチン脱炭酸酵素活性が発がんプロモーター活性をよく反映することが知られている.FNTはhydroxyl radical を発生し酸化ストレスを引き起こすが, 松寿仙はその中に含まれる生薬成分の抗酸化作用により, その障害やプロモーター活性を抑制することを示すものと考えられる.