北関東医学
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肝細胞癌の男女差についての検討
松本 達彦高木 均松崎 豊齋藤 修一蒔田 富士雄森 昌朋
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2003 年 53 巻 3 号 p. 267-274

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抄録

【背景と目的】肝細胞癌における性別の臨床疫学的特徴を明らかにするため過去10年間に診断された263例について検討した, 【方法】発症年齢, 飲酒歴, 肝炎ウイルス, 臨床病期, 腫瘍数 最大腫瘍径, 門脈侵襲の程度, 肉眼的進行程度, 予後について性別による差があるか統計学的に検討した.【結果】内訳は男性189例, 女性74例で, 年度別でも男性 (18.9人/年) が有意に女性 (7.4/年) より多く, 発症年齢 (62.9 : 66.9歳) も若かった.この差はHCV陽性者においても有意であった.男性では飲酒率, HBV陽性率, 進行度が女性と較べ高く, 腫瘍数 門脈侵襲も有意に多かった.肝予備能には差はなく, 予後については男性に早期死亡が多い傾向がみられたが早期に発見され肝切除された症例では差はなかった.【結論】肝細胞癌では男性が女性の約25倍多く, その背景には複数の因子が癌発生から進展に至るまで影響を及ぼしており, 今後肝癌に対しては性差を考慮した診療が必要と考えられる.

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