北関東医学
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ラミブジン早期投与により救命し, 予備能が著明に改善したB型慢性肝炎重症化の一例
本多 史奈下田 隆也片貝 堅志荒井 泰道新井 華子鈴木 豊橋本 良明湯浅 和久長沼 篤高木 均森 昌朋
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2003 年 53 巻 3 号 p. 293-297

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抄録

症例は44歳男性.20年前よりHBs抗原陽性を指摘されていた.糖尿病治療中に肝機能の悪化を認めたため入院.その後も肝機能は増悪し重症化したためラミブジン投与とfresh frozen plasma (FFP) 輸血を開始した.治療開始後1ヶ月でウイルス量は減少し, トランスアミナーゼの著明改善を認めた.その後もラミブジンの投与を継続したところ, 8ヵ月後にはALT・プロトロンビン時間 (PT) ・アルブミンは正常範囲内にまで回復した.
B型慢性肝炎が重症化・劇症化した場合, その救命率は非常に低いと言われている.また, 劇症化を回避し得た重症化例も長期予後は必ずしも良いとは言えない.今回, 重症化した早い段階でラミブジン投与を開始したことにより, 劇症化への進展を阻止し救命し得ただけでなく, 著明な肝予備能の改善を認めた一症例を経験したので報告する.

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