北関東医学
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病歴聴取困難により初期診断に難渋した破裂性腹部大動脈瘤の1治験例
行木 太郎大滝 章男上吉原 光宏中野 実小池 俊明高橋 英治坂田 一宏
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2004 年 54 巻 2 号 p. 153-156

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抄録
脳梗塞後遺症で, 病歴聴取が困難なため初期診断に難渋した破裂性腹部大動脈瘤の1例を経験した.症例は77歳, 男性で, 2001年11月, 右下腹部から側腹部にかけての腹痛が出現し, 急性腹症疑いで当院救急外来へ搬送された.高度の難聴に加え, 脳梗塞の後遺症があり病状の聴取は困難であった.腹部X線では異常ガスはなく, 筋性防御もなかったためいったん消化器科へ入院となった.入院後, 腹痛の増悪があり腹部エコーで腹部大動脈瘤の破裂が疑われた.腹部CTで確診後, 緊急手術となった.救急外来到着から手術室搬入まで270分を要した.手術はY型人工血管置換術を行った.術後経過はおおむね良好で, 術後35日目に退院した.自ら症状を説明できない救急患者では, あらゆる可能性を念頭に置いた診断と治療が不可欠である.
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