日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k07-05
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新規な物性を示すスピネル型化合物、LiV2O4の単結晶育成とその物性
*松下 能孝植田 浩明小池 正義上田 寛
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抄録
AB2O4で表されるスピネル型化合物は、その結晶構造中でB原子が構成する4面体によってパイロクロア型3次元ネットワークを形成している。スピンを持つ遷移金属やランタノイド・イオンがBサイトを占有する系において、このネットワークは外場(温度、圧力など)によって反強磁性型磁気秩序や電荷整列が誘起された際、スピンの秩序化を妨げる様な効果を示す。この効果に加えて、同物質群は超伝導など種々の物性を示すために物性物理の分野において注目されている。中でも本研究物質(LiV2O4)は金属伝導を示し、リチウムやバナジウムと言った軽元素から構成された物質にも関わらず低温において重い電子系的な振る舞いを示す。その電子比熱係数は_から_420 mJ/molK2とf電子系に匹敵する値を持つ非常に特異的な遷移金属系酸化物であり、興味深い物性を示す物質である。そのため、詳細なる物性測定の必要性から、旧来、種々の方法にて本物質の単結晶育成が試みられてきた。現在まで報告されている唯一の成功方法は水熱合成である。しかしながら、同方法では育成条件の最適化や大型化に難がある。そこで、本研究ではリチウム系化合物をフラックス剤として用いた方法で単結晶の育成を試みた。結果、下記に示す様な最大約700ミクロン以上に達する単結晶の育成に成功した。その詳細については当日、発表を行う。
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© 2004 日本鉱物科学会
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