日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k07-07
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TRU廃棄物処理におけるヨウ素ガス直接固定化
*鈴木 正哉渡部 芳夫月村 勝宏鈴木 憲司
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抄録
[1.はじめに] 原子力発電に用いられた使用済み核燃料の処分において、高レベル放射性廃棄物についてはガラス固化体として処理する技術が確立しているが、TRU廃棄物の処理については現在固化体の技術開発を行っている。中でも放射性ヨウ素(I-129)は半減期が1570万年と非常に長く、TRU廃棄物処理における被爆線量評価上の支配核種となっているため、安定化処理が必要とされている。またI-129は半減期が長いばかりでなく、セメントやベントナイトあるいは天然バリアへ吸着しにくいという性質をもっており、現在では廃銀吸着材を用いて回収する方法が研究されている。しかし最初に廃銀吸着材を用いてAgIとすると、その後の固定化において前処理の必要性が生じたり、廃銀等の2次廃棄物が排出されることになる。そこで本研究では、発生するヨウ素ガスを廃銀吸着剤を用いず直接固化体中に取り込む技術開発を目的とし、高温状態においてヨウ素ガスをハイドロソーダライトなどの安定な鉱物中に直接取り込むことの検討を行ったのでここに報告する。[2.試料調製および実験方法] ハイドロソーダライト及びハイドログロシュラーを合成し、それらの粉末を試料とした。粒径は300_から_500μmのものを用いた。反応実験はヨウ素固定化反応装置を用いて行った。試料0.5gを充填した石英ガラス製反応管を縦型電気炉にセットした後、上部から窒素ガスを流しながら500_から_800℃の所定温度まで昇温させた。その後、窒素ガスにて1000ppmに希釈したHIガスを流量100ml/分、反応時間30_から_210分流通させた。徐冷後、試料を反応管から取り出し、エタノールにて洗浄した後XRD及びXRF測定を行った。[3.結果及び考察] ハイドロソーダライトを用いた実験の反応前および反応後のX線回折図形では、反応後の回折ピークは反応前と比較して低角側にシフトしており、格子が大きくなったことが確認された。また蛍光X線による分析では、ヨウ素のピークが確認された。以上のことからハイドロソーダライトは高温条件下でヨウ素ガスと反応させた場合、ハイドロソーダライト中の水酸基がヨウ素と置換し、ヨウ素ソーダライトに変化することが確認された。 反応時間を60分で一定とし、反応温度を500_から_800度で変えて行ったところ、ハイドロソーダライトに含まれるヨウ素固定化量は、温度の上昇と共に増加し750度で0.92wt%と最高に達するが、800度で0.38wt%に減少した。800度でヨウ素固定化量が減少したのはソーダライト構造が同温度で崩れたことによるものである。 以上のようにハイドロソーダライトにヨウ素が固定化されていることは確認されたが、固定化率は1wt%程度とかなり低い。ハイドロソーダライトと塩素が反応した場合、理論値の7.3wt%にほぼ近い割合で水酸基は塩素に置換されたのに対し、ヨウ素は理論値である22.0wt%の約5%程度しか置換されていない。このことはヨウ素のイオン半径(2.06A)は塩素のイオン半径(1.67A)よりも大きく、ヨウ素はハイドロソーダライトの内部へと拡散しにくいことによる可能性が考えられる。今回の実験では比較的大きなサイズの粒子を用いたことから、今後粒子の影響も考慮に入れた反応実験を行うことが必要である。 一方HI反応後のハイドログロシュラーのXRF測定を行った結果、ヨウ素は検出されなかった。これまでの研究では、ハイドログロシュラーはHClと反応しミクロポアに塩素イオンが固定化されることが分かっており、ヨウ素イオンのイオン半径は塩素イオンに比べて大きいためミクロポアへの進入が物理的に難しいことによると考えられる。
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© 2004 日本鉱物科学会
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