日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k03-16
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ストロンチウム珪酸塩ペロブスカイト不凍結高圧相の構造
*遊佐 斉赤荻 正樹佐多 永吉糀谷 浩加藤 義登大石 泰生
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抄録
高圧下で安定なシリケイトペロブスカイトは、一気圧の状態で不安定で、温度を上げるとアモルファス化し、極端な場合CaSiO3ペロブスカイトのように室温に回収することすら困難なものもある。このような場合、高圧下でのその場観察により構造を知る以外に方法はない。SrSiO3(擬ウラストナイト相)は、最近のマルチアンビルを用いた回収実験により、20GPa以上の圧力で高温実験をおこなった場合、やはり減圧時にアモルファスになるとの報告がなされている。そこで本研究では、その高圧相が凍結できないペロブスカイト相であるという予測のもとに、高圧下でその場X線回折実験をおこなった。 実験はSPring-8(BL-10XU)にて対称型ダイヤモンドアンビルセルを用い、Nd:YLFレーザー加熱システムを運用することによりおこなった。回折X線は2次元検出器のイメージングプレートを用いた角度分散法により検出し、30keVの入射エネルギーで、2θ=17°までの領域で全周のデバイリングを収集した。出発試料は常圧相のSrSiO3(擬ウラストナイト相)の粉末で、0.3wt%のプラチナをレーザー光吸収体として分散させたものである。試料を35GPaまで加圧後、加熱前の回折パターンには、プラチナ以外のシャープな回折線は存在せず、ブロードなハローが観察された。これは、圧力誘起アモルファス化に伴う変化と考えられる。摂氏1300_-_1600 度でのレーザー加熱後、明瞭な回折線が検出された。半値幅はシャープであり、レーザー加熱により、試料内部の圧力状態が緩和、改善することを示しているものと思われる。また、圧力は加熱前に比べて25%ほど減少していたことから、高密度相への転移をうかがわせた。一気圧に減圧後のパターンは再びアモルファス様パターンを示した。 加熱後に出現した回折線17本を解析したところBaTiO3型の六方晶ペロブスカイト構造(P63/mmc)で指数付けが可能であった。25GPaでの格子定数はa=5.0683(3)Å, c=12.4196(9) Å, V=276.29 Å3である。この体積に、CaSiO3ペロブスカイトの圧縮率を使って一気圧の体積を推定すると、モル体積は、常圧安定相の擬ウラストナイト相と比較して32.6 % 縮んでいることがわかる。これは、CaSiO3のウラストナイトと立方晶ペロブスカイト相の一気圧での体積差(31.1 %)と良い一致を見る。 ABO3組成のペロブスカイト構造は、各イオンのイオン半径比により、その構造の安定性や対称性の理想立方晶からのずれが系統的に説明されている。その代表的な指標はトレランスファクター(許容度因子)t = (rA+rO)/√2(rB+rO)であり、立方晶をとりうるのは1>t>0.9と比較的狭い範囲に限られている。tが0.9より小さいときはBO6八面体のバックリングにより斜方晶構造をとることが知られている。シリケイトペロブスカイトではMgSiO3の場合、その例に相当する。CaSiO3は、ほぼt=1であるが、SrSiO3は1を超える。この場合、SiO6八面体が周期的に面を共有することでペロブスカイト構造を維持しているものと考えられる。
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© 2004 日本鉱物科学会
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