抄録
代表的な粘土鉱物であるカオリン鉱物(Al2Si2O5(OH)4)には今までに3つのpolytype(kaolinite,dickite,nacrite)が報告されている。またこれらのpolytypeの判別には(粉末)XRD,FT-IR,熱分析などの手法が用いられ,その同定法も確立されている。しかしながらこれらの分析法で得られる結果はある程度の量の試料からの平均の情報であり,微細な結晶ひとつひとつのpolytypeの決定はできない。もちろんこのような平均の情報も重要であるが,例えば2つ以上のpolytypeが混在したような試料では,より空間分解能の高い解析法が要求される。我々は今までにSEM内で結晶学的情報が得られる電子後方散乱回折(Electron Back-Scatter Diffraction: EBSD)を用いて,雲母や緑泥石などの層状珪酸塩中のpolytypeが判別可能であることを示し,またこれによりいくつかの新しい知見を得てきた。今回はEBSDによるカオリン鉱物中のpolytype判別の可能性について検討する。