日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k06-12
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磁鉄鉱の溶解実験
*間中 光雄
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抄録
はじめに:放射性廃棄物の地層処分システムにおいて、地下水の酸化還元状態はオーバーパックの腐食や放射性物質の移行に強く影響する。地下水の酸化還元状態は、地下に存在するFe2+を含む鉄(含鉄)鉱物の溶解によって制御されると考えられる。つまり、地下処分場において将来予想される地下水の酸化還元状態は、含鉄鉱物の溶解速度によって決定される。そこで、本研究では、花崗岩中の含鉄鉱物として磁鉄鉱に注目し、磁鉄鉱の溶解反応のストイキオメトリーや速度を決定し、素過程を解明することを目的とする。この目的を達成するために、mixed flow型の溶解実験装置を用い、最適実験条件下での磁鉄鉱の溶解実験データを取得する。実験:試料は、180um以下の合成磁鉄鉱である。試料を篩分けし、150から180 umサイズの磁鉄鉱が集められた。篩分後の試料は、超音波洗浄機による微細粒子の除去後、純水で洗浄された。洗浄後の試料比表面積は、BET法によると0.10 m2 /gである。実験には市販の1mol/L のHCl とNaNO3の特級試薬が用いられた。0.85 gのNaNO3と0.1から10 mL の1mol/L HClに純水を加え1 Lとした溶液をストック溶液とした。これらの溶液のpHは約2から4である。鉄イオンの標準溶液には、市販のICP分析用1000 ppmの標準溶液を薄めて使用した。磁鉄鉱の溶解実験は、mixed flow型の実験装置を用いて行われた。この装置には、サンプル室とバッファー室が設けられている。サンプル室に上記試料約0.5から2.0 gを入れた後、ポンプで下部からストック溶液を約0.8 mL/minで送液した。サンプル室から排出された水溶液はバッファー室の半分を満たす。バッファー室の残り半分は気相である。バッファー室とサンプル室の水溶液を混合させるために、もう一つのポンプで約5から23 mL/minで水溶液を循環させた。バッファー室から排出された水溶液は、約15から40時間フラクションコレクターを用いて回収された。回収溶液のpHやEh、全鉄濃度は実験終了後に測定された。サンプル室やバッファー室、ストック溶液はすべて298Kの恒温槽に収納されている。バッファー室内の水溶液とストック溶液には、大気または大気を窒素ガスで1/2に希釈した混合ガス、窒素ガスを実験開始12時間前から実験中、絶えず吹き込んだ。回収溶液のpHとEhは、それぞれpH複合電極とORP複合電極を用いて測定された。ろ過後の回収溶液の全Fe濃度はICP-AESで分析された。溶液種の種分析は、コンピュータコードREACTを用いて実施された。反応後の磁鉄鉱表面は、顕微レーザーラマン分光装置を用いて分析された。結果と考察:磁鉄鉱の溶解実験を行った結果、pHは実験開始直後増加するが、その後減少し初期値に戻り、その値を維持した。一方、鉄濃度もpHと同様に開始直後増加し、その後減少しある一定値になり、その値を維持した。観察されたpHと鉄濃度の変化は、酸素分圧に依存しなかった。つまり、pHが4以下の場合、磁鉄鉱の溶解反応は酸素と関与しない。消費されたH+濃度に対する生成したFe2+濃度の比は約0.5であった。これは、磁鉄鉱の溶解反応は2molのH+を消費して1molのFe2+を生成することを示唆する。ラマン分光測定から反応後の磁鉄鉱表面には赤鉄鉱が生成していることが示された。これらをまとめると磁鉄鉱の溶解反応のストイキオメトリーはつぎのようになる。Magnetite + 2H+ -> Hematite + Fe2+ + H2Oこの反応式を基に磁鉄鉱の溶解速度を求めた結果、溶解速度はpHと負の相関があることが分かった。これらについて詳細を本発表において報告する。
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© 2004 日本鉱物科学会
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