抄録
2:1型粘土鉱物であるスメクタイトを主成分とする膜を作製し、透過拡散試験法により,膜の陽イオン透過性能および分子ふるい効果について調べた。拡散物質には,中性分子としての重水(HDO),メタノール(MeOH),エタノール(EtOH),陽イオンとしてヒドロキソニウムイオン(H3O+)を使用した.それぞれの拡散物質の透過量を定量し,破過曲線の解析より拡散係数を得た.十分に時間が経過すると,H3O+の透過量が,HDOなどと比べ大きくなった.このことは,粘土薄膜が陽イオン選択透過性を持つことを意味する.解析により得られた拡散係数は,同じ間隙率であれば,H3O+>HDO>MeOH>EtOHの順に小さくなり,間隙率が小さくなるに従い,それぞれ拡散係数が低下している.より大きな分子であるアルコール系分子で拡散係数が小さいことから,アルコール系分子がHDOに比べ拡散できる経路が限定されていると考えられる.以上の結果より,粘土膜が無機系電解質膜および分子ふるい膜として有用であることを示すことができた.