高知リハビリテーション学院紀要
Online ISSN : 2433-4553
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四国4県における小児言語聴覚療法の社会資源に関する検討
笠井 新一郎石川 裕治山田 弘幸長嶋 比奈美稲田 勤鈴木 啓福永 一郎實成 文彦
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キーワード: 四国, 小児, 言語聴覚療法
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2000 年 1 巻 p. 33-40

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抄録

今回,私たちは一般市民ならびに,言語聴覚障害児(者)に対するサービスに関わっている保健,医療,福祉関係者に提供できる情報の共有化を推進することを目的に,四国4県の関連施設に対して①言語聴覚療法担当者とST(有資格者)の数,②施設の設置場所,③サービスの対象者,④サービスの内容,⑤言語聴覚療法担当者間および他職種との連携,という内容について,郵送によるアンケート方式にて調査を実施した.86施設に対して調査をした結果,67施設(回答率77.9%)からの回答があった.本研究では,小児および小児と成人の両方を対象にして言語聴覚療法を行なっている31施設について報告する.アンケート調査の結果,①小児対象の言語聴覚療法担当者の数は四国4県で74名(常勤68名,非常勤6名)であり,言語聴覚療法担当者数の絶対的不足が指摘できた,②小児対象の言語聴覚療法担当者が従事している地理的位置は全体の87.1%が県庁所在地かその隣接地域に設置されており,施設の所在地が都市部に集中していた,③情報交換の満足度においては,施設外との情報交換について「満足している」と回答した施設は0%であり,他職種間の情報交換が不十分であることなど,多くの問題点が明らかになった.「どんな言語聴覚障害者であっても地域内で十分なサービスが受けられる」ことができるよう,これらの問題に対して解決のための具体的な方法の提示と,取り組みが必要である.今回,回答を得られなかった施設にも今後協力を依頼し,小児に対する言語聴覚療法に関する資料として,どの地域で,どんな施設が,どのような内容のサービスを行なっているのかについての情報冊子を作成し,情報交換の第一歩となるようにしていきたいと考えている.

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© 2000 高知リハビリテーション学院
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