高知リハビリテーション学院紀要
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言語性LDを疑わせる1症例について
塩見 将志笠井 新一郎原口 由美稲田 勤長嶋 比奈美山田 弘幸石川 裕治福永 一郎
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2000 年 1 巻 p. 49-56

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抄録

学習障害が疑われる1症例(CA10:8男児)について,WISC-Ⅲ,K-ABCおよびITPAを実施した.その結果,WISC-Ⅲでは,全検査IQは76と境界線域であった.言語性IQ(66)と動作性IQ(92)とのディスクレパンシーは26と顕著な動作性優位を示した.K-ABCでは,認知処理過程尺度は86であった.同時処理尺度(99)に比し継次処理尺度(74)が優位に弱かった.また,ITPAにおいては,言語学習年齢(PLA)は7歳7か月と暦年齢に比し3歳1か月の遅れが認められ,視覚-運動回路(PLA:9歳4か月)が聴覚-音声回路(PLA:6歳8か月)に比し高い値を示した.これらの結果から,本児を言語性LDと推測し,現在,聴覚的理解力および音声言語の表出能力の向上を目的に訓練を行っている.

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© 2000 高知リハビリテーション学院
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