高知リハビリテーション学院紀要
Online ISSN : 2433-4553
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Pusher現象と重度認知症を呈した片麻痺患者への移乗動作練習
中山 智晴松岡 隆成岩村 玲那山﨑 裕司森野 勝憲和田 譲有澤 雅彦
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キーワード: 認知症, Pusher現象, 移乗動作
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2017 年 18 巻 p. 23-26

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抄録
今回,Pusher現象と重度認知症を有する左片麻痺患者に対する段階的難易度設定の技法を用いた移乗動作練習方法を考案した.移乗動作時に著明な突っ張りを認めた症例に対してその方法を適応し,その効果についてシングルケースデザイン(AB法)を用いて検証した.介入前移乗動作では著明な突っ張りを認め,重度の介助を要した.18病日から介入を開始し,10日で車椅子~ベッド間の移乗が監視下で可能となった.介入前後の10日間では,身体機能に大きな変化がないことから,移乗動作の獲得は病態の回復によるものではなく,動作学習に依存したものと考えられた.学習の困難性を有する本症例において短期間のうちに移乗動作能力を向上させられたことから段階的な難易度設定による無誤学習は,有効に機能したものと考えられた.
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