抄録
パーキンソン症候群と高次脳機能障害を合併した脳血管障害患者に対して逆方向連鎖化と部分練習の技法を用いた起き上がり動作練習を実施した.ベースライン期に行われた総課題提示法による起き上がり練習では,起き上がり動作得点は改善しなかった.逆方向連鎖化の技法の導入によって動作得点は改善したが,on elbowへの起き上がりが困難で動作得点は停滞した.on elbowへの起き上がりのみを反復練習する部分練習の技法を付加することで動作得点は上昇し,5セッション目には起き上がりが自立した.介入中,身体機能及び高次脳機能障害の改善は認められなかった.今回の起き上がり動作練習は,本症例に対して有効に機能したと考えられた.