高知リハビリテーション専門職大学紀要
Online ISSN : 2435-2543
Print ISSN : 2435-2535
認知症予防に関する動向とリハビリテーション
ADL・摂食嚥下機能・食事の視点から
池 聡上松 智幸荒牧 礼子光内 梨佐有光 一樹平賀 康嗣明﨑 禎輝
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2023 年 4 巻 p. 1-10

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抄録
認知機能低下や認知症が摂食嚥下機能や日常生活活動(ActivitiesofDailyLiving:以下,ADL)に与える影響は大きい.そこで本稿では認知症とADLや摂食嚥下機能,食事との関係について,認知症予防の観点から総説的にまとめてみたい.また,認知症のリハビリテーションについても触れる.ADLは,食事などのセルフケアよりもさらに複雑で高度な認知機能を有する手段的日常生活活動(Instrumental Activity of Daily Living:以下,IADL)能力から低下することが推測されている.単純な介助か自立かという評価でなく,より具体的な問題点を調査し,早期に介入することが予防的観点として重要である.摂食嚥下機能では.加齢に咀嚼不全が加わることで認知機能が著しく低下し,食事の摂取量低下や咀嚼が不要な食形態への変更に伴う咀嚼機会の減少という悪循環が考えられる.そのため,オーラルフレイル対策が認知症の予防には重要である.食事では,野菜や果物,魚といった摂取内容と認知症発症のリスクに関して,一定の結論が得られていないことや根拠が十分でなく今後のデータ集積が重要な分野と考える.また,認知症のリハビリテーションに関しても,前頭葉/実行機能プログラム(Frontal/ExecutiveProgram:以下,FEP)を使用した介入後,認知機能検査の成績が改善するといった報告がなされているが,こちらも十分なエビデンスが得られていない.今後は,摂食嚥下機能や食事と認知機能の関係や認知症リハビリテーションの効果に関してもエビデンスを明らかにしていくことが重要である.
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