抄録
コクワガタDorcus rectus rectus 幼虫は白色腐朽材をもっぱら餌としているが,腐朽材には木材と木材腐朽菌の両成分が含まれているため,コクワガタ幼虫は両成分を利用している可能性がある.そこでコクワガタ幼虫消化管のグリコシダーゼ活性と多糖類分解酵素活性を解析した結果,木材細胞壁を構成する非結晶性セルロースとβ-1,4-キシラン,および木材腐朽菌の細胞壁を構成するβ-1,3-グルカンの分解酵素活性が検出されたが,非結晶性セルロースに対する分解酵素活性は非常に低く,β-1,3-グルカンに対する分解酵素(β-グルコシダーゼとβ-1,3-グルカナーゼ)活性はβ-1,4-キシランに対する分解酵素(β-キシロシダーゼとβ-1,4-キシラナーゼ)活性より明らかに高かった.したがって,コクワガタの幼虫は木材成分(セルロースとβ-1,4-キシラン)と木材腐朽菌(β-1,3-グルカン)の両成分を利用することができるが,主に後者を利用していることが考えられた.