こころの健康
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私立女子中高等学校における保護者のスクールカウンセリング活動に対する要望の変化
スクールカウソセラーが導入された直後と1年後との比較
中西 三春黒沢 幸子森 俊夫
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2004 年 19 巻 1 号 p. 61-72

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抄録

本研究は, 保護者用包括的ニーズ評価尺度CAN-SCS (P-version) を用いて, スクールカウンセラーの活動内容に対する保護者の要望の変化を明らかにすることを目的として行われた。2000年度4月よりスクールカウンセラーが配置された都内の私立女子中高等学校B校の協力により, 同校の保護者を対象として2000年度 (スクールカウンセラーの導入直後) と2001年度 (1年後) の2時点で無記名式の質問紙調査を行った。回収率は2000年度が66.2%(789/1192), 2001年度が47.7%(563/1178) であった。2001年度の回答者のうち, 「2000年度も調査に回答しましたか」という項目で「はい」と回答し, かつ2000年度のデータと照合して同定できた213人を本研究の分析対象とした。調査の結果, 1年間のスクールカウンセリング活動に対する保護者の評価は「分からない」という回答が多く, もっとも評価の得点が高かったのは「カウンセラー室の知られている程度」であった。この1年間はスクールカウンセラーの存在が保護者に認識されるようになるまでの期間であったと考えられた。2000年度と比べて2001年度の保護者の要望が高くなった活動内容は, 生徒集団への援助や地域との連携など, 2000年度の段階では要望が低かったものである傾向がみられた。このことから, 1年間のスクールカウンセリング活動を通してスクールカウンセラーの役割像が広がったことが示唆された。全体的にスクールカウンセラーに対する要望が高くなった保護者は, スクールカウンセラーに対する関心が高かった者であった。

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© 日本精神衛生学会
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