国語科教育
Online ISSN : 2189-9533
Print ISSN : 0287-0479
III 資料
大村はま読書生活指導の構造と展開――「教科書」でみる中学校三年間のカリキュラム――
谷木 由利
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 81 巻 p. 50-58

詳細
抄録

この調査研究は大村自身が編著に携わった教科書、昭和50(1975)年版『改訂標準中学国語』(教育出版)における「読書指導カリキュラム」の重要なコンテンツである ①単元 ②読書教材 ③学習の手びき ④ブックリスト の関わりと機能を分析したものである。この分析によって、大村はま読書生活指導の「構造」と「展開」を明らかにできる。

この教科書で大村はまは、学習者が目的意識と必要感に支えられて読む場を、中学校における読書指導カリキュラムに位置づけた。そのカリキュラムは、学習者を自己の課題発見と解決に向けた「探究的な読書」へと導くものである。

この教科書での「読書活動」は、1)データベースである『読書生活通信』から、積極的に読書に関する情報や技術を取り込みつつ、2)様々なジャンルの本を実際に読む展開となっている。さらに3)「読書活動」の全ては、「記録・報告」を「書く」活動に収束されていく。学習者がこれらの「読書活動」を段階的・系統的に体験していく過程において「読書力」を獲得する構造が、ここにはある。

著者関連情報
© 2017 全国大学国語教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top