国語科教育
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II 研究論文
吉田彌平読本にみられる書簡文教材の一考察――芳賀矢一読本との比較を通して――
中嶋 真弓
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2019 年 85 巻 p. 32-40

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抄録

本研究では、『三訂女子国語読本』に採録された書簡文教材に着目し、読本における書簡文教材の役割について議論した。その結果、次の3点が明らかになった。1.社会、実生活に生きる言語能力を育成するための一つのツールとして、書簡文が重要な役割を担っている。2.書簡文の日本の伝統的な礼儀や言葉遣いを継承しているという特性を生かして、書簡文に関連する言語知識、言語技能、言語態度の教材によって、女性としての有様や生き方を教授する役割を担っている。3.文範としての書簡文と文学的な書簡文とを採録することによって、書くことと読むことが効果的に機能し、学習者の習得・活用・探究・発信の一連の学習を生み出すことができるようにしている。このことから、書簡文は、自主的・自発的学習を生み出す言語技能教材としての役割を担っているといえる。

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© 2019 全国大学国語教育学会
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