国語科教育
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Ⅱ 研究論文
文化学習としての書くことの共同推敲に関する研究―共同推敲者という視点からの対話分析を通して―
堀口 史哲
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2023 年 94 巻 p. 41-49

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抄録

本研究は、書くことを文化学習と捉え、共同推敲者という視点に着目することで、共同推敲という学習活動の実態を明らかにすることを目的とする。まず、共同推敲者に必要な資質・能力を、書き手の思考に関する研究と批判的思考に関する研究を手がかりに整理した。そして、共同推敲者が働かせる思考の実態を5つの分類に措定した。次に、実際に学習者が働かせる思考を分析するために、筆者が担任する都内私立A小学校3年生36名を対象に、2つの実践及び調査を行った。2回の調査ではどちらも共同推敲時の音声記録を中心に分析し、事前に措定した分類と照合しつつ検討した。調査の結果、2つのことが明らかとなった。1つ目は、共同推敲者が「書き手の想定する読み手」に対する意識を獲得する3つの過程で捉えることができた。2つ目は、特定の学習者の批判的思考が他の学習者に影響を与えながら広がっていく傾向を確認することができた。

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© 2023 全国大学国語教育学会
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