国語科教育
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Ⅲ 実践論文
小学校における漢字ドリル指導法の実践的検討――「個別自由進度実践」の分析を手がかりに――
土居 正博
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2024 年 95 巻 p. 35-43

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抄録

小学校教育現場において、漢字ドリルは非常に多く用いられている。しかしながら、漢字ドリル指導に関する先行研究はほぼ見られない。教育現場における漢字ドリル指導が持つ課題には、教師が学習のペースを毎日決めてしまい学習者の「自律性への欲求」が満たされていないという点が挙げられる。本稿の主眼は、この課題を解決する実践を開発し、検討することにある。そこで、漢字ドリル指導に自己調整学習の考えを取り入れ、学習のペースを学習者に委ねる「個別自由進度実践」実践を考案し、その実践的検討を行った。

量的分析の結果、学習者の新出漢字の読み書きの定着及び意欲が高まっていることが明らかになった。また、学習者の変化の要因をM-GTAを用いて考察すると、意欲の高まりを契機とした自己調整学習の循環が成立していることが分かり、それが学習者の漢字の読み書きの向上につながっていると推察された。

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© 2024 全国大学国語教育学会
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