国語科教育
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秋期大会(第145回 信州大会)
Ⅱ 研究論文
  • 幸田 国広
    2024 年 95 巻 p. 17-25
    発行日: 2024/03/30
    公開日: 2024/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的はカリキュラム論の視座から「生活綴方的教育方法」の本質を明らかにすることにある。国分一太郎によって提起されたこの用語に関わる先行研究は少なくないが、どのように全教科等と関わるのかと問い直すと解きほぐされておらず、その本質は明確に規定されていない。そこで、倉澤栄吉の作文観やコア・カリキュラム論といった1950年代のカリキュラムに関する議論と、国分一太郎のカリキュラム観を比較検討した。

    その結果、「生活綴方的教育方法」は、相互の「連関」を図ることによって教育課程全体を組み立てていこうとするカリキュラム論ではないこと、また、日本作文の会が別途「作文法」という用語を必要としたように、「方法」という語からイメージされる学習活動や指導法としても規定できないことが判明した。さらに、国分等が重きを置くのは「現実認識」という教育目標であり、「生活綴方的教育方法」の本質は、あるべき認識の獲得を目指す教育理念にあり、その全教育活動への「適用」とは、「自由とリアリズム」の認識を綴り方と話し合いによって各教科等の学習に行き渡らせようとする教師の態度・意志を指すことを明らかにした。

  • 佐内 信之
    2024 年 95 巻 p. 26-34
    発行日: 2024/03/30
    公開日: 2024/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、奈良女子高等師範学校附属小学校の池田小菊が実践した綴り方教育を通して、文章表現指導に「対話」を取り入れる意義について考察することである。池田の実践に対して、国語科教育学の先行研究では「文芸としての綴り方」と位置づけてきた。しかし、合科学習や学級経営といった教育学の先行研究を踏まえれば、池田の実践は対話的な活動にも特徴があると思われる。そこで、池田が残した「綴方の授業速記録」を通して、指導の背景を考察した。

    考察の結果、池田の綴り方教育の特徴として、「生き生きと伝達する文章表現」「子ども同士の活発な意見交換」「安心して発言できる教室経営」の三点が明らかとなった。単に描写による「表現」だけでなく、学級における「対話」の成立こそが、池田の綴り方教育の土台であった。教師の指導は抑制的に行われ、子どもたち相互の対話的な活動が中心に展開されていた。子どもたちの生き生きとした綴り方作品の背景には、池田学級の中心に「対話」が据えられている特徴を、授業速記録を通して具体的に明示できたことが本研究の成果である。

Ⅲ 実践論文
  • 土居 正博
    2024 年 95 巻 p. 35-43
    発行日: 2024/03/30
    公開日: 2024/03/30
    ジャーナル フリー

    小学校教育現場において、漢字ドリルは非常に多く用いられている。しかしながら、漢字ドリル指導に関する先行研究はほぼ見られない。教育現場における漢字ドリル指導が持つ課題には、教師が学習のペースを毎日決めてしまい学習者の「自律性への欲求」が満たされていないという点が挙げられる。本稿の主眼は、この課題を解決する実践を開発し、検討することにある。そこで、漢字ドリル指導に自己調整学習の考えを取り入れ、学習のペースを学習者に委ねる「個別自由進度実践」実践を考案し、その実践的検討を行った。

    量的分析の結果、学習者の新出漢字の読み書きの定着及び意欲が高まっていることが明らかになった。また、学習者の変化の要因をM-GTAを用いて考察すると、意欲の高まりを契機とした自己調整学習の循環が成立していることが分かり、それが学習者の漢字の読み書きの向上につながっていると推察された。

  • 廣口 知世
    2024 年 95 巻 p. 44-52
    発行日: 2024/03/30
    公開日: 2024/03/30
    ジャーナル フリー

    現在,合意形成をめざす話合いの力の育成が求められている。本研究では,小学校2年生の授業実践を通して,合意形成をめざす話合いにおける折り合いのつけ方の変容を明らかにし,学習指導のあり方を考察した。

    その結果,3つのことが明らかとなった。1つ目は,2年生にとっての折り合いをつけるという概念が,全ての考えを入れ込むことから,提案や納得を通して考えを除去することへと変容したことである。2つ目は,5種類の折り合いのつけ方を創出したことによって,2年生でも,人間関係に影響された妥協や譲歩に頼らず,折り合いのつけ方を変容させ,合意形成を図る話合いができるということである。3つ目は,自分たちの話合いの文字化資料を対象化して折り合いのつけ方を振り返り,他のグループに説明する活動を設定したことで,折り合いのつけ方の方法知が相互に納得され,運用されるに至ったということである。

  • 堀口 史哲
    2024 年 95 巻 p. 53-61
    発行日: 2024/03/30
    公開日: 2024/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究は、書くことを文化学習と捉え、共同推敲者という視点に着目することで、学習者が共同推敲時に働かせる読み手意識の実態を明らかにすることを目的とする。まず、共同推敲者が働かせる読み手意識を、書き手の思考に関する研究と批判的思考に関する研究を手がかりに整理した。次に、実際に共同推敲者が働かせる読み手意識を分析するために、筆者が担任する都内私立A小学校5年生36名を対象に、実践及び調査を行った。調査は共同推敲時の音声記録を中心に分析した。そして、学習者が共同推敲時に働かせる読み手意識の実態を3つの分類に措定した。調査の結果、読み手の多様な様相を知ることのできる場が共同推敲者の読み手意識の獲得に影響を及ぼすことが明らかとなった。また、共同推敲者同士で「書き手にとっての読み手」に関する検討を行うことが、共同推敲者としての成長を促すことが示唆された。

Ⅳ 書評
Ⅴ 学会事業報告
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