本研究は、「話すこと・聞くこと」教育における吃音のある子どもの実態を明らかにし、吃音のある子どもの教育的ニーズに応じた「話すこと・聞くこと」教育を検討した。
本研究では、まず、吃音のある子どもに対する個別的な支援の課題を挙げ、UNESCOのインクルージョンの観点から、吃音のある子どもの包摂をめざした「話すこと・聞くこと」教育の方向性を提示した。次に、文献調査と参与観察により、「話すこと・聞くこと」教育における吃音のある子どもの実態を明らかにした。その上で、従来の音声言語が中心の「話すこと・聞くこと」教育をコミュニケーションの視座から問い直し、多様なコミュニケーションに開かれた「話すこと・聞くこと」教育の実践授業を行った。「話すこと・聞くこと」教育を多様なコミュニケーションに開いたことで、吃音のある子どもとその周囲の子どもたちが、自己・他者のコミュニケーションを尊重することができる学びを獲得することができた。