2020 年 4 巻 12 号 論文ID: e00114
今回われわれは,非常に稀な肺動脈分岐異常である縦隔型右A7+8+9+10を有する右肺下葉肺癌の切除例を経験したので報告する。症例は81歳,男性。COPD経過観察中の胸部CTにて右肺S10に増大する腫瘤影を認めた。精査にて,腺癌(cT1bN0M0 Stage IA2)と診断された。手術は胸腔鏡補助下右肺下葉切除,リンパ節郭清(ND2a-2)を施行した。術前HRCTで認識できていた縦隔型A7+8+9+10は下肺静脈を切離すると認められ,葉間レベルで自動縫合器にて切離し,その背側に底区気管支が認められた。肺動脈縦隔型は非常に稀と思われ,それを術前に把握することで,合併症なく手術を完遂することができた。