蚕糸・昆虫バイオテック
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特集「カイコ突然変異体の原因遺伝子の単離とその利用について考える」
カイコ突然変異体を利用して昆虫の色を理解する ─体色形成にかかわるトランスポーターの同定─
富原 健太木内 隆史
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2022 年 91 巻 2 号 p. 2_091-2_103

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抄録

 1.はじめに

 昆虫は,赤・白・黒・黄・緑そして構造色など,様々な色を身にまとい,精巧にパターニングすることで模様を形成し,雌雄の判別や外敵への威嚇,擬態などを可能にしている。これらの模様を作り出すために,昆虫は様々な色素を合成し,蓄積している。昆虫の色素合成および輸送・蓄積経路は,強力な遺伝学ツールを持つモデル昆虫キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を用いて,主に明らかにされてきた。しかし,ゲノム情報の整備や CRISPR/Cas9 システムをはじめとする逆遺伝学ツールの発展により,キイロショウジョウバエのアドバンテージは,絶対的なものではなくなりつつある。本総説では,カイコ(Bombyx mori)の突然変異体を用いて昆虫の体色形成機構を研究する意義について,最近の研究を紹介しながら,特にトランスポーターに注目して議論していきたい。

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© 2022 社団法人 日本蚕糸学会
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