外国語教育においても自律・協働学習の推進は不可欠である。多様な背景・動機を持つ学習者に対する,ICTを利用した学習機会の拡張の意義は広く認められているが,その一方で遠隔教育の限界を指摘する声も多い。本稿では,Moodleを利用したBlended Learningにおいて,モデリング,スキャフォールディング,リフレクションといった学習プロセスを組み込んだタスクを学習者共通の目標として事前に設定し,学習者による活動と対面式授業への影響を観察した。その結果,Moodle上でタスクを遂行する過程で,学習コミュニティが形成されると同時に,対面式の授業においても活発な発言,相互扶助といった場面が多く見られるようになった。ここでのICTは,単に対面式授業を補うものではなく,対面式授業と相互に結びついた新たな学びの形を創出する装置となっている。