コンピュータ&エデュケーション
Online ISSN : 2188-6962
Print ISSN : 2186-2168
ISSN-L : 2186-2168
25 巻
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集 ICTの教育利用―その効果を考える―
  • ―熊本大学全学必修情報基礎教育の事例―
    北村 士朗, 宇佐川 毅, 杉谷 賢一, 中野 裕司, 喜多 敏博, 入口 紀男, 松葉 龍一, 武蔵 泰雄, 右田 雅裕, 久保田 真一郎
    2008 年25 巻 p. 12-17
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    熊本大学では,全学の初学年度生に対して前学期と後学期にそれぞれ情報基礎AおよびBというeラーニングを用いた科目を実施している。特に,繰り返し受験可能で成績やフィードバックがすぐ表示されるオンラインテスト「確認テスト」において,受験回数と成績の分布を調査したところ,受験回数が増えるに従い得点も上位へ遷移するという結果が得られた。この結果は教育の質保証と授業内容の改善の観点からきわめて重要な知見を与えるものである。
  • ―教育と学生支援の相乗効果―
    堀井 祐介, 松本 豊司, 鈴木 恒雄, 佐藤 正英, 森 祥寛, 鎌田 康裕, 末本 哲雄
    2008 年25 巻 p. 18-23
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    金沢大学では,平成16年度採択現代GPを契機に,新入生携帯PC必携,ネットワーク環境整備,オリジナルe-Learning教材作成,新入生向けICT活用必修授業をはじめとするブレンディッド型e-Learning授業を全学的に展開してきた。それらに加えて学生への各種学内情報提供を行うため学習管理システム(LMS)と連動したポータルシステムを導入し大学生活全般にわたるICT活用環境を整備してきた。今年度からは学内常置組織としてのFD・ICT教育推進室を中心にシステム開発/維持/管理,ユーザーサポートを行っている。これらの活動の結果,ポータルシステム,LMSへのアクセス数も順調に伸びており,学生が学習をはじめとする大学生活全般でICTを活用していることがうかがえた。
  • 山﨑 吉朗
    2008 年25 巻 p. 24-29
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はe-Learningの学習効果の検証である。神奈川にある女子高校の高校3年生を対象にして,通常のフランス語の授業で,2年間にわたって学習効果の検証を行った。最初の年は,小テストの準備のためのe-Learning演習問題を作成し,e-Learningなしに実施した過去の小テストとの得点の比較を行った。2年目は,定期試験で同様の授業実践をした。いずれも,e-Learningありの問いの得点が高かった。2つの授業実践の結果,e-Learningが学習効果向上につながる可能性があることがわかった。
  • ―課題を作成する過程を取得する効果―
    森田 直樹
    2008 年25 巻 p. 30-34
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    一般的に教育においては,学習者の取り組みに対して適切なコメントを与えることが大切である。しかしながら,現状では講師が,学習者が提出した結果のみを確認したり,模範例を解説したりするのみに留まることが多い。そのため,講師の説明が自分の誤りをカバーしていない場合は,学習者はそのつまずきを解決できない。本研究では,学習者が演習課題を作成していく過程に着目し,講師がそれを常に把握できるシステムを開発した。具体的には,プログラミングやスクリプトなどに代表される文字の記述を伴う演習において,システムが自動的に学習過程を取得しそれらを講師に提供する。システムによって,講師は,クラス全体および個々の学習者の学習過程や,想定しえなかった突拍子のないつまずきを把握でき,より適切なコメントを行えるようになった。また,蓄積された演習の作成過程を,模範的な正答例と誤答例としてその講義中に提示することが可能となった。
  • 平田 義隆
    2008 年25 巻 p. 35-40
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    長年にわたって,初等中等教育では教師主導型の教育がなされてきた。筆者も10年以上中学校・高等学校で数学において教鞭を執ってきたが,教師主導型授業しか経験がなかった。しかし,近年では「教える教育」から「生徒自身で学ぶ教育」の重要性が指摘されている。筆者もこの10年間における生徒の環境変化等を考えると,その重要性を痛感せざるを得ない。そこで,自らの授業改善のために2008年度の授業では,NPO法人学習開発研究所(所長:西之園晴夫氏)が提唱する協調自律学習(チーム学習)を導入した。本稿では,チーム学習の取り組みを通しての授業改善について私見を述べる。
活用事例
論文
  • ―遠隔サイエンス・コミュニケーションの実現に向けて―
    辻 義人, 田島 貴裕, 西岡 将晴, 奥田 和重
    2008 年25 巻 p. 82-87
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    遠隔授業の実践にあたっては,対面での授業と比較して,より多くの点に配慮する必要がある。本研究では,異なる背景を持つ受講者間における遠隔授業に対する評価,ならびに,遠隔授業に対する評価の観点に注目し,望ましい遠隔授業の設計と展開の検討を行った。小学校と高校を対象とした実践を通して,遠隔授業の成立に求められる要素として以下の2点が示された。①講師と受講者とのコミュニケーション品質の確保。②リアルタイム性を重視した相互対話に基づく授業展開。なお,これらの知見は,遠隔地を対象としたサイエンス・コミュニケーションの実践においても,有効な視座となることが予想される。
  • ―コンピュータの構成と処理に関する大学生の理解―
    谷田 親彦
    2008 年25 巻 p. 88-93
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,情報教育の学習内容に対する認識を分析し,学習者の理解のしかたを把握・検討することを目的とした。情報教育の目標のひとつである「情報の科学的な理解」の指導内容から「コンピュータの構成・処理」に着目し,大学生94名を対象に調査・検討を行った。その結果,ハードウェア,ソフトウェア及びオペレーティングシステム(OS)などの知識は,OSにおいてのみ低水準であり,適切に認識するための岐路になるのではないかと思われた。そのため,OSに対する関連づけを中心として「コンピュータの構成・処理」に対する認識の類型化を行った。また,コンピュータを構成する要素間の関連を示す記述を分析し,具体的な認識のしかたを検討した。その結果,学習者の有する認識の問題点として,基本ソフトウェアと応用ソフトウェアの識別が不十分であること,ハードウェアとソフトウェアの関係が適切に位置づけられていないことなどが推察された。
  • 濱野 英巳, 岡野 恵
    2008 年25 巻 p. 94-99
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    外国語教育においても自律・協働学習の推進は不可欠である。多様な背景・動機を持つ学習者に対する,ICTを利用した学習機会の拡張の意義は広く認められているが,その一方で遠隔教育の限界を指摘する声も多い。本稿では,Moodleを利用したBlended Learningにおいて,モデリング,スキャフォールディング,リフレクションといった学習プロセスを組み込んだタスクを学習者共通の目標として事前に設定し,学習者による活動と対面式授業への影響を観察した。その結果,Moodle上でタスクを遂行する過程で,学習コミュニティが形成されると同時に,対面式の授業においても活発な発言,相互扶助といった場面が多く見られるようになった。ここでのICTは,単に対面式授業を補うものではなく,対面式授業と相互に結びついた新たな学びの形を創出する装置となっている。
  • 高橋 里司, 藤本 貴之, 松尾 徳朗
    2008 年25 巻 p. 100-105
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,企業に所属する社員を対象とした新たな危機管理教育のための支援システムが具備すべき条件,ならびにシステムが実行する手続きに関して検討した。リスクを体系的に分類し,その発生原因について分析した。分析に基づいて,支援システムが具備すべき条件をあげ,それに基づいたシステムデザインの検討を行った。教育手法については,専門家と素人のリスク認知の乖離から,素人が行うリスク認知プロセスについて議論し,提案手法が認知プロセスに則したものであることを述べた。また,従来の社員教育の問題点を指摘し,双方向教育の必要性と効果について述べた。提案する支援システムを使用することによって危機管理教育を効果的に行うことができる。
  • 塩田 真吾, 永田 勝也, 小野田 弘士
    2008 年25 巻 p. 106-111
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,環境学習プログラムの学習効果を行動の変容という視点で定量的に評価するシステムを開発し,成果を考察することを目的とする。この評価システムは,児童の日常の環境配慮行動を長期的にチェックし,児童が毎回出される環境配慮行動に関する質問に答えることで,教員や児童が二酸化炭素の削減量や獲得ポイントを確認できるようになっている。この評価システムを用い,東京都葛飾区立金町小学校及び千葉県富里市立富里第一小学校で環境学習の実践と評価を行った。
編集後記
feedback
Top