2008 年 25 巻 p. 88-93
本稿は,情報教育の学習内容に対する認識を分析し,学習者の理解のしかたを把握・検討することを目的とした。情報教育の目標のひとつである「情報の科学的な理解」の指導内容から「コンピュータの構成・処理」に着目し,大学生94名を対象に調査・検討を行った。その結果,ハードウェア,ソフトウェア及びオペレーティングシステム(OS)などの知識は,OSにおいてのみ低水準であり,適切に認識するための岐路になるのではないかと思われた。そのため,OSに対する関連づけを中心として「コンピュータの構成・処理」に対する認識の類型化を行った。また,コンピュータを構成する要素間の関連を示す記述を分析し,具体的な認識のしかたを検討した。その結果,学習者の有する認識の問題点として,基本ソフトウェアと応用ソフトウェアの識別が不十分であること,ハードウェアとソフトウェアの関係が適切に位置づけられていないことなどが推察された。