抄録
平成23年度の小学校外国語活動必修化に向けて,小学校外国語活動と中学校英語科との小中連携が全国で推進されている。しかし,先行研究によって,校種間の共通理解の深化のために必要な物理的条件が必ずしも整備されていないことが指摘されている。筆者は,ICTの活用が課題解決の有効な手法であると考え,在籍中学校区の小中連携推進担当として小中連携体制の制度設計を行った。設計の援用理論としてはソーシャル・キャピタル論を採用した。1年半にわたる実践の結果,ICTを効果的に活用すれば,実際に共有できる機会が短時間であっても,小中学校の指導者間ネットワークの充実,参加者の共通理解と意識の向上,成果物の社会的還元を効果的に促進できること,すなわち,ICTの活用が物理的制約を解消し,小中連携における校種間のソーシャル・キャピタル構築を推進する重要な鍵となることが明らかとなった。