2012 年 33 巻 p. 28-33
教育実践の中心的目的(原点)のひとつは,深い学習を支援し,深く学ぼうとする学習者を育てることである。アクティブ・ラーニングおよびICT活用という2つの新しい潮流は,深い学習を自動的に保証するものではない。一方で,知識伝達に焦点をあてた伝統的な講義は,必ずしも浅い学習につながらない。教育の原点に立ち返ることで,表面的な学習活動に惑わされることなく,授業を柔軟にデザインすることができる。こうした授業デザインの一例として,ICTをアクティブ・ラーニングに取り込んで深い学習の達成を試みた,初等統計学の授業を紹介する。