抄録
教育現場へのコンピュータ導入の増加にともなって、多くのCAI教材やマルチメディア教材が開発され、教育に利用されている。しかし、教材そのものや教材の教育効果についての評価法や評価基準が現在のところまだ確立されていないことから、語学教育の現場でのCAIに関する研究の多くは、開発に関するものである。そこで、筆者は独自に開発した外国語としての日本語CAI教材を利用した授業を通して得られた音声ヒント利用に関する学習履歴を分析することによって、成績上位者と下位者の学習ストラテジーの違いを調査した。調査の結果、成績上位者と下位者とでは音声ヒント利用の量およびタイミングに差があることが明らかになり、それは彼らの学習ストラテジー使用の違いによるものであろうと推察された。