2018 年 45 巻 p. 85-90
近年,学校を取り巻く社会環境が,地域によって多様であることや,学校に「結果」を求める風潮が見られることなどから,各学校では独自に学校経営計画を作成するとともに教育課程を編成し,実施,評価,改善していくことが求められている。しかしながら,各学校では,学校が保有するデータを十分に生かしきれず,経験則,慣習に基づき経営や指導されている嫌いがある。そこで,本研究では,この問題について,小学校においてどのように解消していけばよいか,具体的な分析事例を交えながら,提言を行うことを目的とした。その結果,十分に生かされていないデータを詳細に分析することで,自校の弱点を見出せること,流布している教育言説について検証できることなど,科学的な知見に基づいて児童を指導できることが示唆された。一方で,教員養成段階や現職教員の研修の必要性,管理職への啓発などが今後の課題と考えられる。