2020 年 48 巻 p. 82-87
従来の暗記型の教育では,小学生がプログラミング的思考を習得することは困難であると指摘されている。本研究では,日常の活動を題材として試行錯誤しながらプログラミング的思考を学ぶツールを開発し,その効果の検証を行った。本ツールでは小学生で学ぶプログラミングの処理のうち「順序処理」,「繰り返し処理」,「条件分岐処理」およびその組み合わせを学習できる。本ツールの効果を検証するために,小学生を対象にワークショップ型の評価実験を行った。実験の結果,ワークショップの実施後に,プログラミング的思考を測るテストの平均得点が有意に向上した。特に,「条件分岐処理」の課題の平均点が高かったことから,本ツールを用いてプログラミング的思考のうち特に「条件分岐処理」を効果的に学習できる可能性が示された。