本研究では,高校生に対して,知的財産が著しく侵害されるインターネット上の海賊版サイト問題に関する知的財産学習モデルを活用した情報科の授業を実践した。授業は,知財創造教育を基にした知的財産学習モデルを用い,コンピュータを利用して知的財産のデータベースを調査し,海賊版サイトに対抗する新規コンテンツ産業のビジネスモデルを考えさせることを通して,生徒自らが創造性を育み,知的財産に対する正しい知識や見方・考え方を持つことをねらいとした。授業受講者67名を調査対象とし,授業実践直後に,教材の評価および知的財産についての教育効果に関する項目について質問紙調査を実施した。その結果,教材の評価の全項目,新規創造の志向を除く知的財産の教育効果の全ての項目において,肯定的な回答が多数を占めた。これらのことから,知財創造教育を基にした知的財産学習モデルを用いた本研究で提案する授業や教材が実施可能性に加え,知財創造教育としての教育効果を有する可能性が示唆された。