2022 年 53 巻 p. 43-51
近年,英語力試験の得点と我々の開発したeラーニング(マイクロステップ・スタディ)の学習量の間に有意な関係性が報告され始めている。これまで,総合的英語力試験の成績と有意な関係性を示すeラーニングは報告されていない。このような結果が得られた原因には,語学力の基盤となっている潜在記憶の特徴を踏まえた学習法と,時間条件がそろった縦断データを収集する新たなデータ収集技術(スケジューリング技術)によって,英語の語彙力を効率的に高めることが実現されたことがあげられる。本論文では,語学力の基盤となっている潜在記憶の特徴と,その特徴を考慮し,質の高い縦断データの収集を実現したスケジューリング技術を紹介する。さらに新たなテスト原理を導入することにより,形成的評価の自動化が図られ,知識習得の支援の自動化が実現される事実を紹介する。最後に,マイクロステップ・スタディが開発された経緯を踏まえ,教育DXを進展させるため研究者が何をなすべきかを考察する。