昆蟲.ニューシリーズ
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Print ISSN : 1343-8794
〈特別寄稿〉
マゴットセラピーとは何か
岡田 匡
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2018 年 21 巻 3 号 p. 175-184

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抄録

腐肉食性のハエのウジは古来より傷の治療に用いられていた.その後無菌性のウジを用いた体系的な治療法として確立されたのは1930年代の北米であったが,ペニシリン製剤が開発されてからは衰退した.しかし繰り返す耐性菌の出現などにより再評価された.マゴットセラピーには壊死組織を除去するデブリードマン作用,抗菌作用,肉芽組織形成促進作用がある.現在では主に下肢救済のため糖尿病性足潰瘍の補完的治療に利用されているが,褥瘡などの治療にも有用である.欧米・アジア諸国で広く施行されているが,本邦では自由診療になるため,まだ広く普及はしていない.国内でのエビデンスの確立などが課題である.

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© 2018 日本昆虫学会
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