日本蚕糸学雑誌
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希薄な酸処理した家蚕絹フィブロインの光脆化と特異陥没現象との関係
桑原 昂
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1970 年 39 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

希薄な酸で各時間処理した家蚕絹フィブロインについて, 光脆化による2~3の物性値と電子顕微鏡観察による特異陥没現象との関連についてしらべた。
(1) 強力, 伸度およびその脆化率においては, 希薄な酸処理2~6時間までは除々に低下し, 8時間以降においてはむしろ除々に向上している。
(2) 黄褐変着色度においては, 希薄な酸処理2~6時間は比例的に濃色となり, 8時間以降は淡色化してゆく傾向を示す。
(3) 酸性, 塩基性染料吸着量においては, ほぼ希薄な酸処理時間に比例して低下してゆく。
(4) 電子顕微鏡観察の結果, 表面構造に見られる特異陥没現象は, 希薄な酸処理2~4時間において最も甚しく, 6~10時間におよぶにしたがって遂次軽微となり特に12時間では極めて軽微もしくは殆んど見られないことが判明した。

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