日本蚕糸学雑誌
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フッ素化合物の経口投与による家蚕幼虫の中毒症状
藤井 実
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1974 年 43 巻 3 号 p. 236-240

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抄録

種々の濃度のフッ素を添着した桑葉を3齢または5齢蚕児に給与し, 蚕児がフッ素中毒症状を発現するまでを経時的に調べ, 中毒発生原因の一部を知った。
1. 消化管は中に桑葉食片が少なく淡緑色または黄褐色を呈するので, 体色が悪くなり, 蚕体の肥大成長や眠期が遅れて, 軟化病に似た症状を呈した。
2. 添食したフッ素濃度の高いものから次第に食下量が減少し, 単位食下量に対する体重増加割合も減少した。しかし血液, 消化液のpHには差はみられなった。
3. 食下されたフッ素は, 消化管, 消化液, 血液に蓄積した。
4. 経口中毒原因は, フッ素による血液, 消化液とくに消化管組織における生理的障害が主であると推定した。

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