日本蚕糸学雑誌
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幼若ホルモンおよびエクダイソンを処理した劣性3眠蚕における精細胞の出現時期の変更
何 麗中垣 雅雄梶浦 善太武井 隆三
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1997 年 66 巻 3 号 p. 192-199

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抄録

幼若ホルモン, エクダイソン, および抗ホルモン作用を示すイミダゾール誘導体が, 劣性3眠蚕の精細胞 (1C細胞) の出現時期に及ぼす影響について調査した。眠性に影響を及ぼさない量のJHAとKK-42で劣性3眠蚕を処理したところ, 精細胞の出現時期は, 無処理の精巣では4齢4日であるのに対し, JHA処理では, 2日遅れて4齢6日となり, KK-42処理では4齢0日に早まることが明らかになった。過齢脱皮幼虫 (4眠蚕) が高頻度で誘発されるほど多量のエクダイソンを劣性3眠蚕の4齢起蚕に投与したにもかかわらず, 精細胞の出現時期は半日ほどしか遅れなかった。優性3眠蚕の4齢起蚕に同じ量のエクダイソン処理を行ったところ, 眠性は変化せず, 精細胞の出現時期は対照区より1日遅れて4齢2日となった。これらの結果より, 幼若ホルモンとエクダイソンが劣性3眠蚕の精母細胞から精細胞への分化のプログラムを抑制的に調節している可能性が推察された。

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