2011 年 68 巻 8 号 p. 532-539
単分散コロイド微粒子を三次元的に周期配列させた構造体は,コロイド結晶と呼ばれており,近年,フォトニック結晶を始めとする光学材料への応用が期待され,注目されている.これまでのコロイド結晶は,基板に支持された薄膜状のものが多く,用途が限定されている.本報では,マイクロ流体デバイスを用いたエマルション作製技術を利用することで,球状やコア-シェル状のコロイド結晶を作製する方法を報告する.ゲル化剤をあらかじめ溶解させた荷電コロイド結晶とオイルをマイクロ流体デバイス内で流動させることで,荷電コロイド結晶からなるシングルエマルションや荷電コロイド結晶をシェルにもつダブルエマルションを作製した.その後,光照射によりゲル化剤を重合させ,コロイド結晶の粒子配列や形状を固定化することで,球状コロイド結晶ゲルやコロイド結晶ゲルをシェルにもつカプセルを作製した.球状コロイド結晶は,試料の回転に対してブラッグ反射波長が変化しない特徴があり,色材,センサーなどへの応用が期待される.