高分子論文集
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一般論文
多重水素結合性官能基を末端に有するポリエチレンおよびポリジオキサノンの結晶化
内村 美香, 岡崎 康平, 山崎 慎一, 木村 邦生
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2014 年 71 巻 11 号 p. 562-572

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抄録
高分子の末端基に存在する多重水素結合性官能基が結晶成長過程に及ぼす影響を解明するために,末端基間で多重水素結合をするthymineユニットとアミノ基を両末端に導入したポリエチレン(PE-Thym)とthymineユニットとヒドロキシ基を両末端に導入したポリジオキサノン(PDX-Thym)を合成し,それぞれの結晶成長速度Gを過冷却度ΔTの関数として測定した.また比較参照用として,末端基間で弱い単一水素結合をするヒドロキシ基とアミノ基を導入したポリエチレン(PE-OH)とヒドロキシ基とカルボキシ基を導入したポリジオキサノン(PDX-OH)を合成し用いた.PE-Thymは,あらかじめ合成した数平均分子量Mn=1960のPE-OHのヒドロキシ末端にthymineユニットを導入することで調製した.PDX-ThymおよびPDX-OHは1-(2-hydroxyethyl)thymineおよびH2Oを開始剤としてp-dioxanoneを開環重合することによってそれぞれ調製した.調製したPDX-ThymおよびPDX-OHのMnは3000および5600であった.すべての試料のGはG=G0exp(-B/ΔT)の式に従い,結晶成長が表面二次核生成律速過程であることがわかった.PE-ThymおよびPDX-ThymのBはPE-OHおよびPDX-OHのそれとほとんど同じ値であり,Bは核の折りたたみ面の表面自由エネルギーσeに比例することから,折りたたみ面の規則性が,末端基の種類によってほとんど影響されないことがわかった.一方,PE-ThymのG0はPE-OHのそれとくらべて1桁以上小さいことがわかった.これは,末端基間の多重水素結合によって融液中の分子鎖間で動的な網目構造が形成され,結晶成長過程における融液から核への分子鎖の引き込み運動が著しく抑制されたためであると考えられた.また,末端のthymineユニットによる水素結合を封鎖するために,PDX-Thymにadenineを添加した系のGのΔT依存性を測定したところ,非添加の場合と比べ,ΔTによって水素結合の影響の現れ方が変化することがわかった.これは水素結合の結晶成長に及ぼす影響が結晶成長様式と密接に関係していることを示唆している.
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© 2014 公益社団法人 高分子学会
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