高分子化學
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プラスチックスの研削切断機構
小林 昭
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1955 年 12 巻 123 号 p. 284-295

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抄録

研削切断は1個の砥粒 (單粒) による切削作用の集成と考えられるので, 統計的に單粒切削作用を吟味した結果, 單粒は先端に丸みをもつ円錐によるのと同様な切削作用をもち, 從って研削切断のように砥粒切込深サが浅い場合には球による切削作用の集成と見なしてよいことがわかった. そこで球による引かきを理論的に解析し, 引かき抵抗は被劇材の降伏点だけの函数であることを見いだした.それをもとにして切線研削切断抵抗を與える式を理論的に導いて各種高分子材料の研削切断の実験値との対比を行った. 切線研削切断抵抗が研削速度によって変ることは被劇材の降伏点が研削熱によって変化することが原因と考えられ, 各種温度における被削材のカタサ (Meyerカタサ) の変化について実測した結果からこれを確かめた. 從ってプラスチソクスのように機械的強度が濃度によって大きく変る材料については, この点を潔く吟味すれば研削切断機構の解明ができるであろう.

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