高分子化學
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高重合体物質の分子の不規則構造と結晶化度の上限について
永井 和夫長井 栄一
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1958 年 15 巻 164 号 p. 778-782

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抄録

高重合体の分子の不規則構造が結晶化度の減少に及ぼす効果について以下の仮定を設けて数学的評価を行った。分子骨格中になんらの不規則構造をもたない高重合体は完全に100%結晶化する。高重合体が不完全にでも, ともかく結晶化するためには, 結晶化可能な要棄が連続した各部分が分子中に存在していることが必要である。このとき, 連続した数iが全部結晶の形成に関与しうるのでなくi0個差し引いたi-i0だけである。ここにらは結晶化に加わることのできない他の要棄よりなる連続が隣接するために妨害を受けて無定形部分に残る要棄の数である。pをもって重合中において結晶化可能な要素の次に同じく結晶化可能な要棄が隣接する確率とすると, 次の式が導かれる;
[結晶化度の上限] = [要素全部に対する結晶化可能な要素の分率] ×pi0

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