1959 年 16 巻 167 号 p. 184-190
ポリ-DL-アラニンは純ジクロル酢酸中では高分子電解質的挙動を示す。すなわちポリマー濃度が0に近つくに従ってηsp/cが急激に増大する。この現象はペプチド結合の一部がイオン化し, そのイオン反搬によって分子鎖が伸びるためと思われる。ジクロル酢酸に水を加えていくとこの現象はしだいに消滅する。かくして重合度の異なる数種のポリ-DL-アラニンの80%ジクロル酢酸溶液の[η]から, 一定の溶液濃度ではηsp/c-[η] は直線になることがわかった, m-クレゾール溶液の[η]は80%ジクロル酢酸の[η]よりわずかに低下し, 同じ容量%のギ酸溶液では[η]は相当低下した。