1960 年 17 巻 180 号 p. 236-244
カチオン重合における末端イオン対の性質と各素反応との関係を明らかにするため, BF3・O (C2H5) 2によるα-メチルスチレンの重合をいろいろの溶媒, 温度で行なってポリマーの重合度から各種速度定数比を求め, それらの値と溶媒の性質の関連を考察した。モノマー移動反応の速度定数比ktm/kpは溶媒の誘電率の増大とともに減少し, 誘電率が5~7で最小となってそれ以上誘電率をふやすと増大する傾向にある。自己停止反応の速度定数比kt'/kpは誘電率が6をこえると急激に増大し, 小さい誘電率の溶媒中では一定値に収斂する傾向にある。これらの速度定数比から以前に報告したα-メチルスチレンの重合の溶媒効果が, 説明でき, 重合溶媒の変化によるイオン対の性質の変化について理解できた。